プラセボのレシピ

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ほぼ日更新 アルコール依存症治療における覚書 9

2021年09月14日 · コメント(0) · 依存症

第9講 飲酒意志を上げない

そもそも「飲酒意志はどこにあるのか」というと,

それは患者の内側ではなく外側だと言える。

依存症治療において,渇望を呼び起こす要因を「引き金」と呼ぶが,

先の宇宙旅行の話と同様,

患者は「絶対に飲めない」場面や状況に身をおかれたなら,

当人の飲酒意志が上がることはない。

そのため,ここでの治療目標は「渇望に負けない自分を作る」ではなく

「渇望が出にくい環境を作り続ける」ことである。

次に「飲酒意志を上げない」具体的な治療について紹介する。

患者は診察ごとに「一行日記」と呼ばれる飲酒について記した日記を持参し,

主治医は日記の内容と,患者が「THE・TPO」に基づき設定した「マイルール」の遵守(○・△)について確認する。

スリップの記載(×)があった際は,叱るのではなく,

記載できた事実を称賛し,「マイルール」の見直しや,患者の治療意志を確認する。

患者がスリップした際に,まるで「癌が再発」したかのごとく騒ぎ立てる家族は少なくない。

しかし,問題の本質は「患者がスリップをした後に,飲酒が止まらなくなる」ことであり,

たとえスリップしようとも,そのタイミングで当人が主治医や家族に報告できたならば,

それは治療が失敗したのではないと言える。

そして,もし,この一行日記が中断されたならば,改めて疾病教育を重ねていき,

患者の「断酒意志」を上げることで再開へつなげる必要がある。

(一行日記については、第10講で紹介します)

(精神神経学雑誌 123: 500-505, 2021)

プラセボのレシピ:第423話

東京都豊島区の心療内科・精神科:ライフサポートクリニック

当院はカウンセリング治療を大切にするメンタルクリニックです。

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