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ほぼ日更新 アルコール依存症治療における覚書 8

2021年09月13日 · コメント(0) · 依存症

第8講 断酒意志を上げる

患者の「断酒意志」を上げるべく,当人に「断酒のメリット」を説く治療者や家族は少なくない。

しかし,その主張が的確であればあるほど,患者は強い不安に襲われ,

患者のなかで上がるのは「断酒意志」ではなく「飲酒意志」となってしまう。

では,どうすれば「断酒意志」が上がるのかと言うと,

「患者が依存症という疾患を徹底的に理解する」

ことにつきるのである。

アルコールの薬理、アルコール依存症の病態や進行、身体合併症ついて

治療関係を壊さないよう緩やかに説明することは大切と言える。※

※ アルコールの薬理、アルコール依存症の病態や進行、身体合併症ついて

① 人はアルコールを少量摂取すると、脳の理性を司る機能が抑制され、失言が増えたり気持ちが大きくなったり、またはストレスが解消されたような気持ちになる。

(脱抑制機能)

② 頻回の飲酒を継続すると身体の適応反応から脱抑制に要する必要な酒量は増えていき二日酔いや泥酔、お酒にまつわる失敗なども発生する。

(耐性や依存の形成)

③ さらに飲酒を継続すると、精神依存(飲酒への渇望や探索行動、飲酒中心思考)や身体依存(不眠や振戦などの離脱症状)が出現する。

(依存症初期)

④ 精神依存や身体依存が生じると、飲酒量やそのタイミングをコントロールする失敗が増えていく。周囲からも飲酒を控えるよう指示も受けてしまう。

(依存症初期~中期)

⑤ やがてアルコールの体内濃度の低下に伴う強い不安や意欲の低下、振戦などの離脱症状が出現し、飲むべきでないタイミングでの飲酒が制御不能となる。

(依存症中期~後期)

⑤ ついには飲酒以外のあらゆる物事(仕事、家族、友人など)に興味を失い、社会的に孤立する。肝障害や膵炎、また栄養失調なども合併し、死に至る。

(依存症後期)   

その上で、先に述べた

「人は誰かに依存しなければ自己を定義できない」

「酩酊とはそれが叶わない際の心の痛み止めである」

「やがて誰もが必然的に周囲から嘘つき扱いされてしまう」

といった疾患の本質と恐ろしさを医師が患者に伝えられたなら,

当人の、断酒意志は必ず育まれるのである。

(精神神経学雑誌 123: 500-505, 2021)

プラセボのレシピ:第422話

東京都豊島区の心療内科・精神科:ライフサポートクリニック

当院はカウンセリング治療を大切にするメンタルクリニックです。

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