第七講 治療について考える
患者のなかにはいつだって
「やめたい自分」と「飲みたい自分」
が存在する。
そのため,たとえ何年断酒が続いても,当人の「断酒意志:飲酒意志」は「10:0」なのではなく,
「6:4」や「5.1:4.9」といった状態と言える。
そして,この断酒意志と飲酒意志は互いにシーソーのように連動するとは限らないため,
「12:11」や「2:1」といった表現が適切なときもあるだろう。
「6:4」といった形で断酒していた患者が,職場で酷いパワハラにあったなら,
飲酒意志だけが上がり「6:7」となりスリップするかもしれないし,
財布を落とした際には,
身銭が戻ってくるまでは「6:1」と大幅に飲酒意志のみ下がるかもしれない。
そのため本症の治療は,意識下にある「断酒意志」と「飲酒意志」の各々に,
別々にアプローチすることが有効となる.
(精神神経学雑誌 123: 500-505, 2021)
プラセボのレシピ:第421話
東京都豊島区の心療内科・精神科:ライフサポートクリニック
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