プラセボのレシピ

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ほぼ日更新 アルコール依存症治療における覚書 2

2021年09月05日 · コメント(0) · 依存症

第二講 何をもって「依存症」か

初診時に「どのくらい飲むと依存症なのか」と問われることは少なくない。

著者はかねてより,人の幸せとは,

「大好きな人と大好きなことをすること」「大切な人が大切にしていることを大切にすること」

と考えている。

それゆえ「お酒によって大切な人や大切なことを犠牲にしている」と感じながらも飲酒していたなら,

それは精神の病と言えるだろう。

しかし,「どのくらい飲むと」について,相手の納得する答えを提示することは難しい。

なぜなら人は「自身を変えようとする相手」を強く恐れるからである。

治療ガイドラインや自記式の質問紙を見せたところで,

「医学的にはそうかもしれないが,自分にはあてはまらない」

と反発されてしまうのである。

もっとも,初対面の相手から

「あなたは依存症の診断基準を満たしており治療が必要です」

と言われ,

「わかりました.よろしくお願いします」

と答えたなら,それは依存症ではないかもしれない。

そのため著者は,「どのくらい飲むと」の問いに対して,逆に質問をすることで,そらすようにしている。

例えば,患者がお酒を飲む理由について「ストレス」を挙げていたなら,

「暇なときや嬉しいときは,飲まないのですか」

と尋ね,

「美味しいから」を挙げていたなら,

「美味しくないお酒にお金を払って飲んだことはありませんか」と尋ねるのである。

人はいつだって,自身の問題を「まだ,ギリギリ大丈夫」と考える傾向がある。

そのため,患者が底つきを体験することなく病識を育むには,患者と治療者が一体となり

「自分はなぜ酒を飲むのか」

について哲学的な態度で臨む必要があると言える。

(精神神経学雑誌 123: 500-505, 2021)

プラセボのレシピ:第419話

東京都豊島区の心療内科・精神科:ライフサポートクリニック

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