そして、補足となるのですが、
「ネットで仲間を募って集団で痴漢をする」
「夜間、女性を物色し強姦を繰り返す」
といったケースを私は性依存症と呼んでおりません。
なぜなら、このような反社会的な行動を繰り返すケースでは、依存症に特徴とされる「否認」や「強い後悔」といった症状がみられないからです。
あとは、女性に多いケースとして、
自分では「私はギャンブル依存症です」と思われている方も、よくよくお話を聞いてみると、「幼少期(思春期)より生き辛さを抱えられていた」なんて方がいらっしゃいます。
その場合、症状から「ギャンブル依存症」という診断は下されたとしても、問題行動の背景にあるのは
「自分が何者であるかが分からない」という自己空虚感」
「大切な人から見捨てられるてしまうのでは」という強い不安
「プライドと劣等感がもたらす激しい怒りや寂しさ」
などであるため、治療は物質依存症に準ずる「居場所の提供」や「生きがいの創出」などが大切となります。
そろそろ本講演も終わりとなるのですが、では「痴漢の治療は何か」というと、一つ目は病気に対する正確な知識と理解でした。
「痴漢はばれないように始まり、必ずバレるまでエスカレートする」
という事実をドーパミンの耐性や感作と絡めて理解するのです。
そして、もう一つは、できてしまった依存症の脳内回路を刺激しない「仕組み作り(行動療法)」となります。
具体的には、
ギャンブル依存症であれば「現金を持たない」
盗撮を止められない方であれば「カメラを持たない」
といった具合です。
心理学ではこうした問題行動に結びつく要因を「引き金」と呼ぶのですが、私はこれを「T・H・E・T・P・O」という項目に整理して治療をしています。
(次回に続く)
プラセボのレシピ:第414話
東京都豊島区の心療内科・精神科:ライフサポートクリニック
当院はカウンセリング治療を大切にするメンタルクリニックです。
うつ病や不安障害に加え、依存症や発達障害の治療を受けることも可能です。
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