このように、痴漢でも盗撮でも、彼らも普段は「二度としない」「次にしたら大変なことになる」と考えています。
しかし「できそう」とか「やれるかも」と思った瞬間、回路は活性化し、私たちがアルコールを飲んだ時と同じかそれ以上に、理性が遮断されてしまうのです。
ここまでを、まとめてみますと、
・痴漢でもギャンブルでも、ビギナーズラックによりドーパミンの回路が形成される。
・ドーパミンの耐性から、行動は必ずエスカレートしてしまう。
・意志の力で我慢をしても、「久々の1回」で感作が生じ、再び常習化されてしまう。
・どんなに「二度としない」と誓っても、特定の場面で理性は停止し、再犯してしまう。
統計を取りましたところ、私の外来へ痴漢を治療しに訪れた患者さんの二割弱の方が「故意でなく、偶然の接触によって痴漢を繰り返すようになった」方でした。
「荷物を持っていた手の甲が、偶然、相手のお尻に触れて」
なんて方はその典型ですが、他にも
「つり革を持っていたら、たまたま肘が女性の胸に触れて」
「座席に座っていたところ、隣の女性の髪の毛がいい匂いで」
なんて方もいます。
こうした経験が「ビギナーズラック」として本人に認知されると、行為依存症という病気になってしまうのです。
そして、初めは「手の甲で軽く触れていた」方がいつしか耐性により「手の平で」となり、
最後は「下着の中に手を入れて逮捕」というケースはパターンなのです。
つまり痴漢は、スタートが故意であれ偶然であれ、いつだって
「バレないように始まって、必ずばれるまでエスカレート」
してしまうのです。
そして、これは逮捕などを機に止まっていた方が再逮捕となる経緯も同様なのです。(次回へ続く)
プラセボのレシピ:第411話
東京都豊島区の心療内科・精神科:ライフサポートクリニック
当院はカウンセリング治療を大切にするメンタルクリニックです。
うつ病や不安障害に加えて、依存症や発達障害の治療を受けることも可能です。
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