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ほぼ日更新 「性依存症」教育講演 ⑰

2020年02月14日 · コメント(0) · 依存症

行為依存症の動機づけ面接

行為依存症には痴漢、盗撮、露出、覗(のぞ)き、病的賭博、病的窃盗といったものがあります。

ただし、痴漢などの性犯罪や窃盗行為はそれ自体が犯罪であるため、それらを「病気」と説明してもなかなか理解が得られません。

そこで、私はいつも患者さんやそのご家族に対しては、同じ行為依存症である病的賭博(以下:ギャンブル依存症)について説明を行い、そこから同じカテゴリーである痴漢の理解へと繋げています。

ギャンブル依存症は、年齢にもよりますが、平均500万円前後の借金を抱えた状態で、私の外来を訪れます。

しかし、彼らが全員「自分は病気である」と認識しているかというと、そうではありません。

先日も「競馬で借金を作ってしまい、実家から200万円、嫁の実家からは300万円埋めて貰った」という方が奥様と来院されたのですが、彼は待合室で「スマホ用の競馬サイト」を見ていたのです。

また、診察の順番となりお呼びすると、私の顔を見るや否や「呼ぶのが遅い」「待たせすぎだ」などと怒り出す方や、「なんで俺が精神科なんだ。ふざけんな」などと大声をあげる方もいるのです。

これが同じ行為依存症でも、痴漢や盗撮ですと治療への導入はスムーズにいくことが多いのです。

なぜなら、彼らの多くは逮捕歴があり裁判なども控えているため、弁護士からも治療を勧められているからです。

しかし、これが合法のギャンブルとなると難しいのです。

もちろん、私だって怒鳴られたり大声を上げられたりしたら「そうでしたか。では、どうぞお帰りください」と言いたくもなります。

しかし、やっとの思いで連れて来られたご家族のことを考えると、むげにもできないわけです。

そこで「本日は、○〇さんの借金のことで奥さまが心配されていたので、私が診察をご案内しました」と前置きし、

「ところで、○○さんは今後、競馬についてどうなさるおつもりですか」

と尋ねます。

すると、大抵は「今後は小遣いの範囲内でやるから心配ない」「取り返したらやめるので、それまでは続ける」といった答えが返ってくるのです。

そこで私が「『勝てるから』とか、『取り返したら』ということは、お金のために競馬をされているのですね」と尋ねると、「まあ、そうだな」となるのです。

そして、そうこうしている内に患者さんはしびれを切らせ「もう、いいから帰らせろ」とか「俺は病気でもなんでもない」という展開になるのです。

ここまで来ると、動機づけまではあと一息です。

私が「分かりました。では、今から一つだけ質問をしますので、もし答えることができたなら、どうぞお帰りください」と伝えると、患者さんは「分かった」とか「早くしろ」と必ずこの提案に乗ってくるのです。

そこで私は「○○さんは競馬をされている理由を『お金のため』とおっしゃいましたが、では、もし宝くじで5億円当たったなら、何に使いますか」と尋ねるのです。

すると、患者さんは必ず「えっ、……」と言葉につまり「分かんねえ」とか「考えたこともない」と答えるのです。

私が「でも、先ほど○○さんは競馬を『お金のため』とおっしゃっていたのに、お金が入った際の使い道が分からのはおかしくないですか」と続けると、「だから、分かんねえーよ」となり、

「では、お約束した通り、まだ帰れませんね」という展開になるのです。

(次回に続く)

プラセボのレシピ:第400話

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