プラセボのレシピ

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「性依存症」教育講演 ① (全32回)

2020年01月16日 · コメント(0) · 依存症

(本文は「性と心の学会誌(第10回大会:教育講演)」の転載となります)

私は、性やギャンブルなどに代表される「行為依存症」という疾患の治療を、三つの柱を元に行っています。

一つ目は、精神療法です。

これは精神医学に基づいたカウンセリングであり、患者さんに「依存症についての科学的な知識」を伝えることを目的としています。

巷のカウンセリングでは、患者さんの生い立ちや幼少体験などを掘り下げることで、苦しみや葛藤の原因を探っていきますが、依存症、とりわけ痴漢などの性依存症では、これをよしとしません。

なぜなら、後ほど詳しく述べますが、「痴漢」「盗撮」「露出」「覗き」などの性依存症の原因と、患者さんの生い立ちとはほとんど関係が無いからです。

また、カウンセリングの世界では往々にして「認知のゆがみ」を修正することで治療をしていくのですが、性依存症でこの技法を用いても、なかなか上手くいきません。

例えば、痴漢を繰り返してきた方にその理由を尋ねると「世の中には触られることで喜ぶ女性もいる」「ちょっとくらいなら触ってもばれないと思う」などとを話される方は少なくありません。

彼らは逮捕をされると、刑務所の職員やカウンセラーから「あなたの認知は間違っている」「そんな女性はどこにもいない」といった教育的な治療を受けるのです。

すると、患者さん自身も「そうか、自分は認知がゆがんでいたために痴漢をしていたのか」と施設の中で納得されるわけです。

しかし、彼らがそれで再犯をしないのかといったらそんなことはなく「出所後も再犯してしまった」なんて方が、それこそ毎週のように私の外来を訪れるのです。

なぜ彼らは自分でも「認知のゆがみ」を自覚しながらも再犯をしてしまうのか。(次回へ続きます)

プラセボのレシピ:第385話

東京都豊島区にある心療内科・精神科
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当院は、カウンセリング治療に重きをおいたメンタルクリニックです。
復職支援・依存症・発達障害の専門医による治療を受けることも可能です。

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