「自分がスマホ依存症なのかを知りたいです」
先日、こうした相談を受ける機会がありました。
お酒、タバコ、薬物、ネットゲーム、……
人は様々なものに依存してしまう生き物ですが、
そもそも「依存」とは何なのでしょうか。
たとえば、精神科の外来では
「依存するのが怖いので、薬は飲みたくありません」
と話される方がいます。
しかし、視力が悪いため眼科にかかり、
「依存するのは嫌なので、眼鏡はかけたくありません」
と話す方はいないわけです。
もちろん、私はここで
「だから精神科薬を飲みなさい」と言いたいのではありません。
そうではなく、「依存」という用語を正しく理解することが大切だと言いたのです。
そもそも人は何のために生きるのかというと、
答えは「幸福感を得るため」だと言えます。
しかし、幸福とは「短期的」なものと「長期的」なものに分かれるのです。
たとえばタバコを吸う人は、なぜタバコを吸うのかというと、程度の差こそあれ「幸福感を得るため」です。
しかし、だからといってタバコをたくさん吸ったその翌日に、「あー、昨日はたくさんタバコを吸って良かった」と思う方は少ないはずです。
つまりタバコが喫煙者にもたらしてくれる幸福感はごく短期なものなのです。
あわせて健康のリスクや、金銭や時間のロスもあるわけです。
一方で、眼鏡はと言うと、眼鏡をかける方も、もちろんその理由は「幸福感」を得るためです。
読書や映画鑑賞はもちろん、日常生活全般が豊かになります。
しかし、眼鏡はタバコと異なり、後悔をしたり、自分のことを「意志が弱い」などと責める方はいないのです。
つまり、たしかに眼鏡をかけている方は、特定の生活場面においては眼鏡が手放せないことはたしかです。
そうて、もしも眼鏡をなくされたなら、タバコが切れた方と同様に必死で探し求めると思います。
しかし、視力が弱い方は眼鏡をかけることにより、短期的にも長期的にも幸福感を得られるわけですから、
これは「依存」ではなく、「活用」と表現できるのです。
依存 …… 短期では幸福感が得られるも、長期ではむしろ損なわれる。
活用 …… 短期でも長期でも幸福感が得られ、用いたことに後悔も伴わない
現代において、スマホはなくてはならないものだと思います。
しかし、ご自身がスマホを「活用」し人生を豊かにしているのか、
依存した結果、操られスマホの奴隷となってしまっているのか、
「活用」と「依存」といった視点でスマホを眺めてみてはいかがでしょうか。
プラセボのレシピ:第384話
有楽町線・副都心線 千川駅より徒歩0分
心療内科・精神科 ライフサポートクリニック
当院は、カウンセリング治療に重きにおいたメンタルクリニックです。
また、復職支援・依存症・発達障害の治療では東京都でのパイオニアを目指しています。
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