プラセボのレシピ

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「否認」という病

2018年10月09日 · コメント(0) · 依存症

喫煙している医師に対して、

「なぜ、肩身の狭い思いをしてまでタバコを吸っているのですか」

と尋ねると、

「緊張やストレスが緩和されるから」

といった答えが返ってくることがあります。

しかし、そうした方に

「では、(ストレスが無いであろう)ハワイなどのリゾート地では吸わないのですか」

と尋ねたなら、彼らは決まって

「リゾート地でも吸っています」

と答えるのです。

もしくは、

「自分は過去に禁煙に成功したことがあるので、時が来たら(値段が○○円になったら)やめるつもり」

などと答えるケースもありますが、

そうした発言は重度の肥満の方が、

「過去に痩せたことがあるので、今は減量をしません」

と答えるのと同じくらい非論理的であることに彼らは気がつかないのです。

もちろん、私はここで彼らのことを「嘘つきだ」「非論理的だ」などと非難したいわけではありません。

そうではなく、

喫煙者は「自身がタバコに依存している」という事実を認知できないため、「吸う理由」や「止めない理由」を無意識が捏造してしまう

ということを知って頂きたいのです。

こうした「自分で自分に対して嘘をついてしまう」症状を精神医学では「否認」と呼ぶのですが、

依存症は「否認の病」と呼ばれるほど、こうした否認症状が次から次へと出現してしまうのです。

次回も、否認について書いてみたいと思います。

プラセボのレシピ:第348話

※ 私は喫煙している医師に対してなんらネガティブな印象を持っておりません。私も過去は愛煙家でした。本稿では、「否認」という症状を説明するために、合法である喫煙を例にあげてみました。

依存症の治療は言葉にするのが難しく、またこれといった教科書などもありません。当事者やその家族はもちろんのこと、治療者すらも困っているのが現実です。このブログはそんな方々に向けて「少しでも力になれれば」といった思いから、日々の臨床での知見や気づきを書いています

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