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痴漢の「ムラムラしたから」は本当なのか ?

2018年10月01日 · コメント(0) · 依存症

本日は「痴漢」について話してみたいと思います。

「痴漢はなぜ痴漢をするのか」と聞かれたなら、あなたは何と答えるでしょうか?

世間的には「痴漢を行う人は性欲が強い」と思われている傾向にあるようですが、これまで数百名以上の患者を治療してきた私に言わせればそれは誤りだと言えます。

なぜなら痴漢を繰り返している人は、射精を主たる目的としていないからです。

また、痴漢行為をしてきた人にその理由を尋ねると、「ムラムラしたから」と答える場合が多いのですが、

そうした際に「では、あなたは対象者(被害者)の顔を見て痴漢をしてきたのですか」と尋ねると、多くの方が「背後から触っていたため、相手の顔は見ていません」と答えるのです。

「対象者の顔も見ておらず、射精が主たる目的ではない」

こうした事実から「痴漢と性欲は無関係である」と言えるのです。(そもそも性欲が過剰な人は「触るだけ」で満足できるはずがないのです。)

では、痴漢の目的は何なのかというと、答えは「できるかもしれない」「成功するかもしれない」といったものに挑戦するギャンブル行為なのです。

私の外来には、毎日のように痴漢や盗撮、覗きや露出といった性依存症の患者さんが新規に受診され、そのほとんどが「何度も捕まり示談で解決してきた」、「刑務所に数回入ったことがある」といったケースです。

そこで私が「風俗でお金を払って欲求を満たしたらいかがですか」と尋ねると、誰もが「試したのですが、なんか違いました」と答えます。(まあ、風俗では満たせないがために犯行と逮捕を繰り返しているわけです。)

またその一方で「では、そんなに自分を抑えられないのであれば、ガラガラの電車内でも痴漢をしていたのですか」と尋ねると、やはり誰もが「ガラガラの車内でしたことは一回もありません」ときっぱり答えるのです。

つまり彼らは、絶対に成功する風俗や絶対に失敗するガラガラの電車では痴漢をしたいともやりたいとも思わない、

あくまでも「できるかもしれない」と感じられる満員電車でのみ痴漢行為を繰り返している、行為依存症の患者なのです。

プラセボのレシピ:第347話

※ 複数で犯行に及ぶケースや射精を主たる目的としたケースは「反社会性人格障害」であり、本稿で解説している「性依存症」とは全く異なる疾患(病態)です。

依存症の治療は言葉にするのが難しく、またこれといった教科書などもありません。当事者やその家族はもちろんのこと、治療者すらも困っているのが現実です。このブログはそんな方々に向けて「少しでも力になれれば」といった思いから、日々の臨床での知見や気づきを書いています

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