プラセボのレシピ

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依存症は、意志が弱くてだらしがない ?

2018年09月21日 · コメント(0) · 依存症

依存症という病気は、

・物質依存症(覚せい剤、大麻、アルコール、など)
・行為依存症(ギャッブル、窃盗癖、痴漢、など)
・人間関係依存症(DV、ホストクラブ、など)

の三種類に分けることができます。

そして、これらの病気の治療を考えるにあたり、まずは以下の三つについて説明したいと思います。

①:世の中には「依存症」という病気が存在する
②:依存症は「意志の力」とは無関係である
③:依存症は「治らない」

① と ② について (アルコール、薬物を中心に)

前回の話の続きになりますが、「なぜ世界中の国々が覚せい剤を違法としているのか」の答えは、「依存症という、やめられることができなくなる病気になってしまう人がいるから」でした。

アルコール依存症も同様で、この病気が理解されにくい最大の原因は「全員がなるわけではない」という点にあるのです。

しかし、何がしかの理由を抱えた人は徐々に飲酒量が増えていき、意志の力では飲酒量や時間、タイミングなどをセーブできない「アルコール依存症」という病気になってしまうのです。

何がしかの理由とは、「孤独や不安が強い」「相談相手が苦手」「頑張り屋さんのため一人で抱え込む」といった性格因子や、「産後に相談相手がいない母親」「人前での緊張が強いが、そういった場面が多い方」などといったケースをさします。

こうしてアルコール依存症になってしまうと、周囲からは「飲まないと約束したのに嘘をつく人」「お酒を飲んで出勤するなんて非常識」などと人格を否定されてしまうのです。

「気合や根性で我慢すればいい」なんてことを話される患者さんのご家族と会ったこともあります。

しかし、アルコール依存症の患者さんはお酒に対する病的な渇望感だけでなく、アルコールの血中濃度が下がるタイミングで身体的な離脱症状も出現しているのです。具体的には「ハンドルが握れないほど手が震える」「滝のような汗が出て止まらない」といった症状です。

こうなるともう仕事どころではありません。ただし自分でも「原因は分からないけど、飲めば止まる」ということは知っているため「仕事に行くためにお酒を飲む」という、誰からの理解も得られない行動をとってしまうのです。

加えて長期間のアルコール暴露は「飲酒時の理性や判断能力が大幅にダウンする」といった症状も引き起こします。

先日、某タレントが「飲酒運転でのひき逃げ事件」を起こしてし、多くの方が批判的なコメントをされていました。

しかし、赤信号で横断歩道に突っ込んでしまうような精神状態の方が、事故を起こした際に理性的な行動など取れようもないのです。

もちろん私はここで加害者の罪や行動を擁護したいのではありません。

そうではなく、アルコールを日常的に摂取することで誰もが依存症となり、加害者側に回るリスクがあることを知って頂きたいのです。

(意志が弱いから病気になるのでもありませんし、なったなら誰もが社会性が失われていくのです)

次回は、ギャンブル依存症について考えていきます。

プラセボのレシピ:第345話

 

依存症の治療は言葉にするのが難しく、またこれといった教科書などもありません。当事者やその家族はもちろん、治療者すらも困っているのが現実です。このブログはそんな方々に向けて「少しでも力になれれば」といった思いから、日々の臨床の気づきを書いています。

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